腸と脳のつながりを示すイメージ

「脳腸相関」とは?腸と脳がつながるメカニズムと食事・生活習慣でできること【2026年最新版】

この記事の結論腸と脳は迷走神経・内分泌・免疫・代謝の4経路を介して双方向に情報をやり取りする「脳腸相関」でつながっています。体内セロトニンの約90%が腸で産生されること、腸内細菌が短鎖脂肪酸を産生すること等を研究知見と食事ポイントとあわせて解説します。

「脳腸相関」とは?腸と脳がつながるメカニズムと食事・生活習慣でできること【2026年最新版】

腸と脳は「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれる双方向の情報伝達経路によってつながっており、互いのコンディションに影響し合っています。体内に存在するセロトニンの約90%が腸で産生されることや、腸が「第二の脳」とも呼ばれる独自の神経系を持つことは、多数の研究で報告されています。2026年現在、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)と脳・神経系の関係を解明する研究が国際的に急進展しており、日常の食事習慣との関連として広く注目されています。

監修:管理薬剤師 岩崎喜代美

脳腸相関(ガット・ブレイン・アクシス)とは何ですか?

脳腸相関(英: gut-brain axis)とは、脳と腸が自律神経(特に迷走神経)・内分泌系・免疫系を通じて常時双方向に情報をやり取りする仕組みのことです。単に消化のシグナルを送り合うだけでなく、腸の状態が脳の活動に、また脳の状態が腸の動き(蠕動運動・消化液分泌)にも影響するという「双方向性」が特徴です。

近年では腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)も重要な役割を担うことが明らかになり、「マイクロバイオーム-腸-脳軸(microbiota-gut-brain axis)」とも表現されるようになっています。この概念に関する系統的総説として、Cryan et al.(Physiological Reviews, 2019)が世界的に参照されています。

腸が「第二の脳」と呼ばれるのはなぜですか?

腸管神経系(Enteric Nervous System:ENS)には約1億個の神経細胞が存在しており、これは脊髄の神経細胞数を上回る規模です。腸は脳からの指令なしに自律的に消化・蠕動運動を制御できるため、「第二の脳(the second brain)」と呼ばれています。神経科学者マイケル・ガーション(Columbia University)がこの概念を広く提唱し、腸管神経学という研究分野の発展に貢献しました。

また、腸は神経伝達物質を自ら産生・利用する機能も持っています。こうした特性が、腸と脳の双方向コミュニケーションを支える基盤となっています。

脳腸相関の主な情報伝達経路は何ですか?

脳と腸をつなぐ情報伝達経路は複数あり、現在研究でわかっている主なルートは以下の4つです。

脳腸相関の主な情報伝達経路(2026年時点の研究知見)
経路 主な伝達物質・しくみ 関与する組織・臓器
①神経系経路 迷走神経(vagus nerve)・腸管神経系(ENS)を介した電気信号。腸→脳への信号が全体の約80%を占めるとされる 腸管壁の神経細胞・脳幹・大脳辺縁系
②内分泌経路 腸クロマフィン細胞から分泌されるセロトニンや、L細胞から分泌されるGLP-1等の腸管ホルモンが血流に乗って全身に届く 腸クロマフィン細胞・膵臓・視床下部
③免疫経路 腸管免疫細胞が産生するサイトカイン(炎症性・抗炎症性)が血流を通じて全身・脳に伝わる 腸管粘膜の免疫細胞・血液・血液脳関門(BBB)
④代謝経路 腸内細菌が食物繊維を発酵して産生する短鎖脂肪酸(SCFA)や、トリプトファン代謝物(インドール等)が血流・神経に関与 腸内細菌叢・大腸粘膜・肝臓・血液脳関門

腸内細菌はセロトニンとどう関係しますか?

セロトニンは気分・睡眠・食欲の調整に関与する神経伝達物質であり、「幸せホルモン」とも呼ばれます。体内に存在するセロトニンの約90%は腸のクロマフィン細胞で産生されており、腸の蠕動運動を制御する役割を担っています。

カリフォルニア工科大学のヤノらの研究(Yano et al., Cell, 2015)では、特定の腸内細菌がアミノ酸トリプトファンの代謝を通じて腸クロマフィン細胞でのセロトニン産生を促進することが報告されています。ただし、腸で産生されたセロトニンは血液脳関門を通過できないため、脳内セロトニンとは独立した経路で機能しています。腸内細菌→腸のセロトニン産生→迷走神経シグナルという間接経路が、脳の状態と関わる可能性が研究されています。

短鎖脂肪酸(SCFA)と脳腸相関の関係は?

短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸)は、食物繊維を腸内細菌が発酵することで産生される代謝産物です。腸管バリアの維持・免疫制御への関与に加え、血液脳関門(BBB)のタイトジャンクション(細胞接着構造)に影響する可能性が複数の研究で示されています(Cryan et al., Physiological Reviews, 2019)。

酪酸を産生する腸内細菌にはFaecalibacterium prausnitzii(フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ)などがあり、食物繊維(イヌリン・ペクチン・β-グルカン等)を継続的に摂取することで活性化されることが知られています。野菜・豆類・海藻・玄米・全粒穀物などの植物性食品が主要な供給源となります。

食事で腸内フローラをサポートするには?5つのポイント

特定の食品で脳腸相関を直接「改善」できるという確立された科学的合意は現時点では存在しません。ただし腸内フローラの多様性を維持するための食習慣は、日常生活から継続的に取り組めるアプローチとして国際的に推奨されています。

腸内フローラの多様性を意識した食事のポイント(一般的な食習慣の目安)
ポイント 主な食品・習慣の例 腸内細菌との関係(研究知見)
①食物繊維を毎食意識する 野菜・海藻・豆類・玄米・オーツ麦・ゴボウ・バナナ プレバイオティクス作用:腸内細菌の栄養源となり、SCFA産生をサポートすることが報告されている
②発酵食品を取り入れる ヨーグルト・納豆・味噌・ぬか漬け・甘酒・キムチ・ケフィア 生菌の継続摂取が腸内菌叢の多様性に関与することが報告されている(Wastyk et al., Cell, 2021)
③食事の種類を増やす 週に15種類以上の植物性食品を目標とする(英国腸内細菌研究所の目安) 多様な食物繊維→多様な腸内細菌の活性化→代謝産物の多様化につながることが示唆
④ポリフェノールを意識する 緑茶・黒烏龍茶・ブルーベリー・カカオ・赤ワイン(適量)・豆類 ポリフェノールが腸内フローラの構成に影響する可能性が研究段階で示されている
⑤食事のリズムを整える 毎日ほぼ同じ時間帯に食事する(時間栄養学との関連) 体内時計と腸内細菌の概日リズムの関係が研究中。朝食の欠食が腸内フローラ多様性に影響する可能性あり

「プシコバイオティクス(Psychobiotics)」とは?2026年の研究動向

プシコバイオティクスとは、「腸内フローラを介して脳機能・精神的コンディションに関与する可能性があると研究されている微生物や食品成分」を指す研究上の概念です。アイルランド・コーク大学のJohn Cryan博士らが2013年に提唱し(Biological Psychiatry, 74(10), 720–726)、2026年現在も複数の国際的な無作為化比較試験(RCT)が進行中です。

一部の研究では特定のプロバイオティクス(生菌)の摂取がストレス感受性の変化と関連したと報告されていますが、プラセボ対照・二重盲検の大規模試験での一貫した結果にはまだ達していません。現時点では「可能性が研究されている段階」の概念として理解することが重要です。また、プシコバイオティクスを根拠に商品の精神・脳機能への効果を標榜することは、日本の薬機法・景品表示法における機能性表示食品の届出範囲外となるリスクがあります。

日常生活で意識できることは何ですか?

  • 朝食を習慣にする:朝食は腸内細菌の概日リズムを整えるきっかけになると報告されています。欠食が続くと腸内フローラの多様性に影響する可能性があります。
  • 睡眠を十分に確保する:睡眠不足が腸内フローラの多様性低下と関連することが複数の研究で示されています。睡眠と腸の関係については睡眠不足と食欲の関係の記事もご参照ください。
  • 食物繊維と発酵食品を組み合わせる:プレバイオティクス(食物繊維)とプロバイオティクス(発酵食品)を組み合わせる「シンバイオティクス」アプローチが国際的に注目されています。
  • 水分をこまめに摂る:腸の正常な蠕動運動には適切な水分摂取が重要です。夏は発汗による水分喪失が大きくなるため、こまめな補給を心がけましょう。
  • 過度な加工食品・高脂肪食を控える:超加工食品(UPF: Ultra-Processed Food)の過剰摂取が腸内フローラの多様性に影響するという報告が増えています(BMJ, 2024)。

プロ・プレ・ポストバイオティクスの違いは?

「腸活」に関連する用語として「プロ・プレ・ポストバイオティクス」が広く使われるようになっています。それぞれの違いを整理します。

プロバイオティクス・プレバイオティクス・ポストバイオティクスの比較
種類 定義 代表的な食品・成分
プロバイオティクス 適切な量を摂取すると宿主に利益をもたらす生きた微生物(FAO/WHO定義) ヨーグルト・味噌・ぬか漬け・乳酸菌発酵物
プレバイオティクス 宿主の腸内の特定の微生物を選択的に活性化し、宿主に利益をもたらす基質 イヌリン・難消化性デキストリン・β-グルカン・ペクチン
ポストバイオティクス 宿主に利益をもたらす生きた微生物の非生存性製剤または代謝産物(ISAPP 2021年定義) 短鎖脂肪酸(SCFA)・乳酸・酪酸・インドール・ウロリチン等
シンバイオティクス プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせた製品・アプローチ 乳酸菌+食物繊維を同時に摂れる発酵食品・複合製品

ポストバイオティクスの詳細についてはポストバイオティクスとは?プロバイオティクス・プレバイオティクスとの違いを徹底解説もあわせてご覧ください。

naturism 各シリーズの配合成分について

naturism では食事サポートを目的とした3シリーズを展開しています。腸内環境・発酵関連の配合成分を事実のみご紹介します。

naturism 3シリーズの食品分類と腸内環境関連の配合成分(事実のみ)
製品 食品分類 腸内環境関連の配合成分 備考
naturism Blue 健康食品(一般食品) 食物繊維(イヌリン)・アロエベラ・玄米外皮・胚芽 食事を楽しみたい方の食事サポート食品。身体変化の標榜なし
naturism Pink(KOSO) 健康食品(一般食品) 穀物麹(W酵素)・乳酸菌発酵物(植物由来)・植物発酵物・アロエベラ インナーケア(体の内側のコンディション)を意識する方の食事サポート。身体変化の標榜なし
naturism Premium 機能性表示食品(届出番号 H975) 穀物麹・アロエベラ・乳酸菌発酵物(機能性関与成分は別途) 機能性関与成分はブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン(下記参照)

naturism Pink は、穀物麹(W酵素)・乳酸菌発酵物(植物由来)・植物発酵物を配合し、インナーケアも意識したい方向けの食事サポート食品として位置づけられています。ただし本品は健康食品(一般食品)であり、腸内環境の改善・整腸・便通改善等の効果を標榜するものではありません。

naturism Premium(機能性表示食品・届出番号 H975)の届出表示は以下のとおりです:

本品にはブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンが含まれます。ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンには、BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能があることが報告されています。

※本品は、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。食生活は、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを。

よくある質問(FAQ)

Q. 脳腸相関は医学的にはっきりと証明されていますか?

腸と脳が自律神経・内分泌・免疫系を介して双方向に情報をやり取りすることは、多くの動物実験・臨床研究によって示されています。一方で、「特定の食品・サプリメントが脳機能・気分を改善する」という因果関係については現在も研究段階であり、確立した科学的合意には至っていません。消費者庁の機能性表示食品制度においても、精神・気分・ストレスに関連する機能を届け出る場合には厳格な評価基準が設けられており、届出が受理される事例は限られています(消費者庁 2025年ガイドライン)。

Q. 「腸活」で気分が変わると聞きましたが、科学的根拠はありますか?

腸内フローラと気分・ストレス感受性の関連を示す研究は増えています。無作為化比較試験(RCT)で特定のプロバイオティクスがストレス感受性の変化と関連した例は報告されていますが(Dinan et al., Biol. Psychiatry, 2013; 2019 review)、プラセボ対照・二重盲検の大規模試験での一貫した結果にはまだ達していません。気分の変調が気になる場合は、食事習慣の改善と合わせて医療機関へのご相談を優先してください。

Q. 発酵食品を毎日食べると腸内細菌は増えますか?

スタンフォード大学のWastykらの研究(Cell, 2021)では、発酵食品を10週間継続摂取した群で腸内菌叢の多様性が増加する傾向が観察されました。ただし腸内細菌の「定着」には個人差が大きく、摂取を止めると元の状態に戻りやすいことも知られています。継続的な摂取が鍵とされており、食物繊維との組み合わせ(シンバイオティクスアプローチ)が推奨されています。

Q. サプリメントで腸内環境は整えられますか?

サプリメント(健康食品)は食事を補う食品であり、腸内環境の「治療・整備」を目的とするものではありません。整腸を目的とした製品(乳酸菌製剤等)で「整腸」「腸内環境の改善」を表示できるのは医薬品(第3類医薬品等)に限られ、健康食品とは区別されます。食物繊維や発酵成分を含む健康食品は、バランスの良い食事の補助として活用することが適切な位置づけです。

Q. 夏は腸内環境に影響がありますか?

夏は冷たい飲み物・食べ物の過剰摂取、暑さによる食欲低下、生活リズムの乱れなどが腸の動きに影響することがあります。お盆・夏休みシーズンは食事のリズムが崩れやすく、腸内フローラの多様性を維持しにくい時期ともいえます。朝食を習慣化し、野菜・海藻・発酵食品を意識した食事を続けることが、腸内環境の安定的な維持につながると考えられています。

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出典・参考情報

  1. Cryan, J.F., et al. (2019). The Microbiota-Gut-Brain Axis. Physiological Reviews, 99(4), 1877–2013.(脳腸相関の国際的参照総説)
  2. Yano, J.M., et al. (2015). Indigenous Bacteria from the Gut Microbiota Regulate Host Serotonin Biosynthesis. Cell, 161(2), 264–276.(腸内細菌とセロトニン産生の関係)
  3. Wastyk, H.C., et al. (2021). Gut-microbiota-targeted diets modulate human immune status. Cell, 184(16), 4137–4153.(発酵食品と腸内細菌多様性)
  4. Dinan, T.G., Stanton, C. & Cryan, J.F. (2013). Psychobiotics: a novel class of psychotropic. Biological Psychiatry, 74(10), 720–726.(プシコバイオティクスの提唱論文)
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット.「腸内細菌と健康」.(腸内細菌の基礎知識・公的参考情報)
  6. 消費者庁(2025).「機能性表示食品届出データベース」・「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」.(naturism Premium H975 届出表示の参照元・機能性届出の審査基準)

監修体制

本記事は naturism 編集部が公開情報(消費者庁届出データベース・厚生労働省・PMDA 等)をもとに作成し、 管理薬剤師 岩崎喜代美が内容の正確性と表現を確認しています。 医薬品を扱う薬剤師の視点で、記事の内容に誤りや誇張がないかを確認しています。 本記事は医療・薬学的アドバイスを提供するものではありません。 ご自身の健康状態については医療機関にご相談ください。

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