腸内環境と食事のイメージ

腸-脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)とは?腸内環境と気分・集中力のつながりの基礎知識を解説【2026年版】

この記事の結論腸-脳相関は腸と脳が自律神経・セロトニン・免疫系の3経路で双方向に連絡し合うシステム。2026年の健康食品市場で最注目テーマのひとつで、食物繊維・発酵食品を中心とした食習慣が基本的なアプローチとして研究されています。

腸-脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)とは?腸内環境と気分・集中力のつながりの基礎知識を解説【2026年版】

腸-脳相関(ちょう-のうそうかん)とは、腸と脳が自律神経・内分泌・免疫の3つの経路を介して双方向に情報をやり取りし、互いに影響を与え合うメカニズムです。研究の進展とともに「腸内細菌の多様性が気分やストレス応答に関与する」という知見が蓄積されており、2026年の健康・食品業界では「腸とメンタルの接点」が最注目テーマの一つとなっています。腸-脳相関を意識した食生活の基本は、多様な食物繊維と発酵食品を取り入れた食事習慣です。

監修:管理薬剤師 岩崎喜代美

腸-脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)とは?

腸-脳相関(英語:Gut-Brain Axis、ガット・ブレイン・アクシス)とは、消化管と中枢神経系が双方向に情報交換を行う生物学的システムの総称です。腸は独自の神経回路「腸管神経系(Enteric Nervous System, ENS)」を持ち、脳から独立して腸の運動や消化液分泌をコントロールできます。この高度な自律性から腸は「第二の脳(the Second Brain)」とも呼ばれています(Gershon MD, 1999)。

2010年代後半から2020年代にかけて、腸内細菌と脳機能・行動の関連を調べた研究が急増しました。2026年時点では、腸内フローラの多様性や組成が気分・ストレス応答・認知機能に影響する可能性を示す研究が複数報告されており、腸-脳相関は学術的にも産業的にも最重要テーマの一つとなっています。健康食品業界においても、腸とメンタルの関係に着目した「サイコバイオティクス(Psychobiotics)」という概念が注目を集めています(Dinan TG et al., 2013)。

腸と脳はどのように「会話」しているのか?3つの経路

腸-脳間の情報伝達には、大きく3つの経路があります。それぞれが独立して機能しながら、複雑なネットワークを形成しています。

腸-脳相関の主な情報伝達経路(概念整理)
経路 主な媒介物 伝達の方向 具体例
神経系(迷走神経) 迷走神経(副交感神経の主要幹) 腸→脳・脳→腸(双方向) 食後の満腹感シグナル、緊張時の腹痛
内分泌系(腸ホルモン) セロトニン・グレリン・GLP-1等 腸→脳(主に求心性) 食欲調節、気分に関連するセロトニン産生
免疫系(腸内細菌代謝産物) 短鎖脂肪酸・サイトカイン 腸内細菌→腸→脳(腸内細菌が介在) 酪酸等による腸上皮保護・免疫調整

① 迷走神経(自律神経系)

腸と脳を直接つなぐ最大の神経幹が迷走神経(第10脳神経)です。腸の情報の約80〜90%は腸から脳へ向かう「求心性(上行性)」の伝達とされており、腸の状態がリアルタイムで脳に伝わります。ストレスや緊張で「お腹が痛くなる」現象は、この双方向経路の典型例です。食事の満腹感も迷走神経を通じて脳に伝えられます。

② 内分泌系(腸ホルモン)

腸には多種多様なホルモンを分泌する内分泌細胞(腸内分泌細胞)が多数存在します。神経伝達物質であるセロトニンは、消化管の運動調節において特に重要な役割を担っています(詳細は次節)。また、食欲調節に関わるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)やグレリンも腸管から分泌されます。

③ 免疫系(短鎖脂肪酸・腸内細菌代謝産物)

腸内細菌が食物繊維を発酵・分解すると、酪酸・プロピオン酸・酢酸などの「短鎖脂肪酸(SCFA: Short-Chain Fatty Acids)」が生成されます。短鎖脂肪酸は腸の免疫バランスの調整に関与することが研究されており、脳への間接的な影響も検討されています。腸の免疫組織は全身の免疫細胞の約70%を占めるとされており(厚生労働省 e-ヘルスネット)、腸と免疫・炎症の関係は腸-脳軸研究の重要な素材です。

腸で産生されるセロトニン——「気分」と関わる物質の9割が腸にある?

セロトニンは中枢神経系では気分調節に関わる神経伝達物質として広く知られていますが、全身のセロトニンの約90〜95%は腸(腸クロム親和性細胞)で産生されると報告されています(Yano JM et al., Cell, 2015)。腸内細菌がこの腸由来セロトニンの産生に影響する可能性も示唆されています。

ただし、腸で産生されたセロトニンは血液脳関門(BBB)を通過できないため、脳内の気分調節に直接作用するのは主に脳内で産生されるセロトニンです。腸のセロトニンは腸の運動調節・消化液分泌・腸神経への信号伝達に機能しています。腸と脳のセロトニン系が間接的にどう連携するかは現在も研究が進む分野です。

セロトニンの産生場所と主な役割の比較(概念整理)
産生場所 全体の比率(目安) 主な役割 脳への直接移行
腸(腸クロム親和性細胞) 約90〜95% 腸の運動調節・消化液分泌・腸神経シグナル 血液脳関門を通過できない
脳(縫線核) 約5〜10% 気分調節・睡眠・食欲調節 脳内で直接作用
血小板(貯蔵) (腸産生を含む) 血管収縮・止血 血液中を循環

「腸活で気分がよくなる」という表現を耳にすることがありますが、腸内環境と気分の関係は現時点でまだ研究段階であり、直接的な因果関係を断定できる科学的証拠は限定的です(2026年時点)。腸と脳の関係に興味がある場合は、信頼性の高い医学・栄養学の文献にあたることをおすすめします。

腸内フローラ(腸内細菌叢)との関係は?

成人の腸内には約100兆個・1,000種以上の細菌が存在し、その集合体を「腸内フローラ(腸内微生物叢、腸内マイクロバイオーム)」と呼びます(厚生労働省 e-ヘルスネット)。腸内フローラの多様性・組成は、食事・年齢・生活習慣・抗生物質使用・ストレスなどによって変化します。

腸内フローラの代表的な菌群と特徴(概念整理・個人差あり)
菌群 代表的な菌種 主な役割(研究段階)
ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌) B. longum, B. breve 乳酸・酢酸産生、腸壁粘膜保護への関与
ラクトバチルス属(乳酸菌) L. acidophilus, L. rhamnosus 乳酸産生、腸内pH調整への関与
酪酸産生菌(フィルミクテス門等) Faecalibacterium prausnitzii等 酪酸産生・腸上皮細胞のエネルギー源としての役割
バクテロイデス属 B. thetaiotaomicron 食物繊維・多糖類の分解

腸内フローラの多様性を保つ上で、食物繊維の豊富な食事(プレバイオティクス)や発酵食品(プロバイオティクス)の継続的な摂取が基本的なアプローチとして研究されています。また、睡眠・運動・ストレス管理など生活習慣全体が腸内細菌の多様性に影響するとされており、食事だけが唯一の要素ではありません。

食事でアプローチするには?プレバイオティクス・プロバイオティクス・ポストバイオティクス

現時点で「腸-脳相関を改善する」と確認された食事法は確立されていませんが、腸内環境の多様性を維持するための食事習慣として研究されているアプローチをまとめます。

腸内環境と食事アプローチの比較(研究段階の概念整理)
アプローチ 定義 代表的な食品例 注意点
プレバイオティクス 腸内有用菌のエサとなる非消化性食物成分(ISAPP定義) ゴボウ・玉ねぎ・バナナ・大麦・オーツ・にんにく 種類・量・個人の腸内フローラで効果が異なる
プロバイオティクス 十分量で宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物(ISAPP定義) ヨーグルト・味噌・ぬか漬け・甘酒・キムチ・納豆 菌の種類・菌数・生存率・到達性が重要
ポストバイオティクス 宿主の健康に利益をもたらす不活化微生物とその代謝産物(ISAPP 2021年定義) 発酵食品全般に含まれる代謝産物(短鎖脂肪酸等) 用語・定義が整理中(2021年以降)

これらの概念については、当ブログの「食物繊維(イヌリン・難消化性デキストリン)とは?腸内環境の基礎知識」および「ポストバイオティクスとは?プロバイオティクス・プレバイオティクスとの違いを徹底解説」もあわせてご参照ください。

食事で意識したい5つのポイント

  1. 多様な食物繊維を意識する:水溶性(イヌリン・ペクチン・β-グルカン等)と不溶性(セルロース等)を両方取り入れる。1日の食物繊維の目標摂取量は成人で18〜20g以上(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版)。
  2. 発酵食品を毎日の食卓に:ヨーグルト・味噌・ぬか漬け・甘酒・テンペなど多種類の発酵食品を継続的に。加熱すると生菌が死滅する場合があるため調理方法にも留意する。
  3. 食品の多様性を高める:週に30種類以上の植物性食品を食べると腸内細菌多様性が高まるとする研究があります(American Gut Project等)。色とりどりの野菜・豆類・全粒穀物をバランスよく。
  4. 超加工食品の過摂取を控える:高脂質・高糖質の超加工食品は腸内細菌多様性の低下と関連する傾向が報告されています。
  5. 規則正しい食事リズムを保つ:体内時計と腸内細菌の日周リズムは連動するとされています(時間栄養学の観点)。朝食を抜かない、就寝直前の大食いを避けるといった基本習慣が重要です。

サプリメントの位置づけ——naturism 3シリーズとの関係

健康食品・サプリメントは日々の食事を補助するものであり、腸-脳相関への直接的な医学的効果を主張することは現行の薬機法・景表法上認められていません。以下では、naturism の3シリーズについて配合成分の事実のみをご紹介します。腸-脳相関への作用を示すものではありません。

naturism 3シリーズの成分・食品区分の比較(成分の事実のみ)
製品名 食品区分 腸内環境関連の主な配合成分(事実) 機能性表示
naturism Blue 健康食品(一般食品) 食物繊維(イヌリン)・黒烏龍茶ポリフェノール・L-カルニチン・玄米外皮・胚芽・アロエベラ なし
naturism Pink(KOSO) 健康食品(一般食品) 穀物麹(W酵素)・植物発酵物・乳酸菌発酵物(植物由来)・L-カルニチン・アロエベラ なし
naturism Premium 機能性表示食品(届出番号H975) 発酵紅茶・乳酸菌発酵物・アロエベラ・穀物麹・白インゲンマメ・サラシアレティキュラータ あり(腹部の脂肪・BMI ※下記参照)

naturism Blue に配合されているイヌリンは植物由来の水溶性食物繊維であり、プレバイオティクスの一種に分類されます。naturism Pink(KOSO)は穀物麹・植物発酵物・乳酸菌発酵物(植物由来)を配合した発酵素材中心のシリーズです。いずれも健康食品(一般食品)であり、「腸内環境が改善する」「腸-脳相関に作用する」等の効果・効能は表示できません。

【naturism Premium の機能性表示(届出番号 H975)】

本品にはブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンが含まれます。ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンには、BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能があることが報告されています。

※本品は、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。
※食生活は、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを。
※対象:BMIが高めの方。未成年者・妊婦・授乳中の方は摂取を避けてください。
※上記の機能性は、腸-脳相関や気分への作用を示すものではありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 腸-脳相関と「腸活」は同じものですか?

別の概念です。「腸活」は腸内環境を整えることを目的とした生活習慣全般を指す一般的な言葉です。一方「腸-脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)」は腸と脳が双方向に影響し合うメカニズムを指す科学的な学術用語です。腸活の代表的なアプローチ(食物繊維・発酵食品の摂取)は腸-脳相関研究でも取り上げられる手法と重なりますが、同一の概念ではありません。

Q2. 「腸-脳相関に効く」とされたサプリメントは日本で販売されていますか?

2026年7月時点で、消費者庁の機能性表示食品届出データベースにおいて「腸-脳相関への機能」を届出表示として認められた食品はありません。サプリメントに対して「気分が改善する」「ストレスが緩和する」等の効能・効果を記載することは、薬機法上、医薬品的効能の標榜に該当するため認められていません。

Q3. ストレスで「お腹が痛くなる」のも腸-脳相関の一例ですか?

はい。ストレスや緊張時に腹痛・下痢・吐き気等の消化器症状が現れるのは、脳のストレス反応が迷走神経を介して腸に伝わる「脳→腸」方向の腸-脳相関の典型例です。過敏性腸症候群(IBS)は腸-脳相関の機能的な乱れとの関連が研究されており、消化器内科や心療内科での診察が推奨されます。

Q4. 発酵食品を毎日食べれば腸内フローラは多様になりますか?

発酵食品の継続的な摂取が腸内フローラの多様性に影響する可能性は研究されていますが、「毎日食べれば確実に多様になる」と結論づけた臨床試験の知見はまだ限定的です(2026年時点)。腸内フローラは食事・睡眠・運動・ストレスなど多面的な要因によって変化します。発酵食品はバランスよい食事の一部として継続的に取り入れることが推奨されますが、個人の腸内フローラへの影響は個人差があります。

Q5. 子どもや高齢者でも腸-脳相関の考え方は当てはまりますか?

腸-脳相関のメカニズム自体は年齢を問わず存在します。腸内フローラは乳幼児期・思春期・高齢期でそれぞれ組成が大きく変化することが分かっており、ライフステージに応じた食事習慣の工夫が推奨されます。高齢者では腸内細菌の多様性が低下しやすいとされる研究があります。具体的なアドバイスは管理栄養士・医師にご相談ください。

出典・参考情報

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ 閲覧: 2026年7月)
  2. 消費者庁 機能性表示食品届出データベース 届出番号 H975(https://www.fld.caa.go.jp/ 閲覧: 2026年7月)
  3. Gershon MD. The Second Brain. HarperCollins, 1999.
  4. Yano JM et al. "Indigenous bacteria from the gut microbiota regulate host serotonin biosynthesis." Cell. 2015 Apr 9;161(2):264-76.
  5. Dinan TG, Stanton C, Cryan JF. "Psychobiotics: a novel class of psychotropic." Biol Psychiatry. 2013 Nov 15;74(10):720-6.
  6. 日本腸内細菌学会 用語集「脳腸相関(brain-gut interaction)」(https://bifidus-fund.jp/ 閲覧: 2026年7月)
  7. ISAPP(国際プロバイオティクス・プレバイオティクス科学学会)ポストバイオティクス定義(2021)
  8. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」食物繊維目標量

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監修体制

本記事は naturism 編集部が公開情報(消費者庁届出データベース・厚生労働省・PMDA 等)をもとに作成し、 管理薬剤師 岩崎喜代美が内容の正確性と表現を確認しています。 医薬品を扱う薬剤師の視点で、記事の内容に誤りや誇張がないかを確認しています。 本記事は医療・薬学的アドバイスを提供するものではありません。 ご自身の健康状態については医療機関にご相談ください。

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